メンズエステは、近年注目を集めているリラクゼーション業の一つです。
低資金で開業でき、個人経営でも始めやすい点から、副業や独立を検討する人が増えています。
しかし、メンズエステの経営には独自のルールやリスクがあります。
「風営法との関係」「物件選び」「届出の有無」などを正しく理解していないと、知らないうちに違法行為とみなされる可能性もあります。
本記事では、メンズエステ経営の基本構造から、開業に必要な準備などをわかりやすく解説します。
合法的かつ安定的に店舗を運営するために、経営者が押さえておくべきポイントを整理していきましょう。
メンズエステ経営とは?まず基本を理解しよう
メンズエステは、リラクゼーションを目的とした施術サービスを提供します。
利用客は、日々の疲れやストレスを癒やすことを目的としており、性的サービスをおこなわないことが大前提です。
そのため、経営者は風営法を回避しつつ、健全な範囲で集客・収益化を図る必要があります。
メンエス経営は、セラピストの技術と接客力が収益を左右します。
固定費の少なさと高単価のサービス体系から、少人数でも運営が可能です。
一方で、広告戦略や人材管理を誤ると、すぐに赤字に転落するリスクもあります。
まずは、メンズエステという業種の構造を理解することが大切です。
メンズエステのビジネスモデル
メンズエステは「人の癒やし」を商品とする、サービス業の一種です。
一般的には個室型の施術ルームを用意し、女性セラピストが男性客にアロマオイルやリンパマッサージを行います。
1回の施術時間は60〜120分が中心で、料金は1万円〜2万円台が相場です。
店舗はテナント型またはマンション型で運営され、広告やSNSを活用して新規顧客を集めます。
場合によっては、エステ魂などのサイトに掲載して、集客することもあります。
高単価・高リピートを目指すモデルが多く、利益率は40〜60%程度が目安です。
ただし、経営の根幹は「リラクゼーション目的の施術」であることを明確にしておく必要があります。
風俗店との違い
風俗店(ソープやデリヘル)との最大の違いは、営業目的と法的区分にあります。
風俗店は性的サービスを提供する「性風俗関連特殊営業」に該当し、警察への届出と厳しい営業制限が必要です。
一方、メンズエステは性的行為を伴わないため、風営法上の届出は不要で、深夜営業も認められています。
しかし、問題は「実態が風俗に近いかどうか」です。
施術中に性的接触が行われたり、裏オプションを黙認したりすれば、風俗営業と判断される可能性があります。
つまり、法律上の扱いは「何を目的としているか」「実際にどのようなサービスを提供しているか」で変わります。
経営者として大切なのは、「健全なメンエス」として明確な運営方針を持つことです。
メンズエステ経営のメリットとデメリット
メンズエステ経営は、個人でも始めやすく、一定の需要が見込める業態です。
ただし、他のサービス業と比べて法的な注意点や人材管理の難しさもあります。
ここでは、メンエス経営のメリットとリスクを客観的に整理していきます。
メンエス経営のメリット
メンエス経営には、さまざまなメリットがあります。
具体的には、以下のとおりです。
メンエス経営のメリット
- 低資金で始められる:マンションからの開業も可能
- 利益率が高い:人件費を除くコストがほぼかからない
- 副業・独立でも始めやすい:資格や免許が不要で法的要件を満たせば誰でも開業できる
- 差別化しやすい:接客方針・空間デザイン・価格設定などで個性を出しやすく、他店との差別化がしやすい
これらを踏まえたうえで経営をすると、働きやすくなります。
デメリット・リスク面
一方で、メンズエステ経営にはいくつかのリスクも存在します。
それぞれまとめると、以下のとおりです。
メンズエステのリスク・デメリット
- セラピストの定着率の低さ
- 法的トラブルのリスク
- クレームや通報リスク
- 競争の激しさ
まず課題となるのが、セラピストの定着率の低さです。
入れ替わりが激しい業界のため、安定した人材確保が難しく、採用や教育にコストがかかります。
労働環境や報酬制度を工夫し、長期的に働ける環境を整えることが経営課題となります。
また、法的トラブルのリスクにも注意が必要です。
メンズエステは風営法の線引きがあいまいであり、施術内容や広告表現によっては違法とみなされる場合があります。
さらに、クレームや通報リスクも無視できません。
SNSや口コミで“過激な内容”が拡散されると、警察や行政からの調査対象となることがあります。
メンズエステを開業するために必要な準備
メンズエステを開業するためには、さまざまな準備が必要です。
それぞれまとめると、以下のとおりです。
メンズエステ開業に必要な準備
- 開業資金の確保
- 物件選定
- 届け出・税務処理
段階的に準備する必要があるので、それぞれ参考にしてください。
開業に必要な資金と初期費用
開業に必要な資金は、店舗規模や運営形態によって異なりますが、
一般的なマンション型サロンで200〜400万円前後が相場です。
表でまとめると、以下のとおりになります。
| 項目 | 概要 | 目安費用 |
| 物件取得費 | 敷金・礼金・保証金など | 50〜100万円 |
| 内装・備品 | ベッド・照明・アロマ機材など | 50〜80万円 |
| 広告・サイト制作 | HP・ポータル掲載・撮影費 | 50万円前後 |
| 採用・研修費 | セラピスト募集・教育コスト | 30万円前後 |
| 運転資金 | 開業後3か月分の家賃・人件費など | 100万円程度 |
初期投資を抑えるには、居抜き物件の活用やポータルサイト経由の広告出稿が有効です。
物件契約と注意点
メンズエステの物件契約は、他業種よりも審査が厳しい傾向にあります。
特にマンション型店舗では、管理規約で「マッサージ業禁止」とされている場合もあります。
契約時には、以下を確認しましょう。
- 管理会社やオーナーに「施術内容」「営業時間」を明確に伝える
- 防音・換気・清掃など衛生面の設備が整っているか
- 室内を施錠せず、外から確認できる構造にすることで風営法対策になる
無断営業や虚偽申告は、トラブルや強制退去の原因になるため、正直な説明が重要です。
届出・許可・税務手続き
メンズエステは、風営法上の「性風俗営業」には該当しませんが、開業をするには基本的な事業手続きが必要です。
具体的には、以下の事をしましょう。
- 開業届の提出:個人事業主として税務署に届け出る
- 保健所・消防への確認:施術スペースの安全基準を満たすか確認
- 事業用口座・青色申告の準備:経理処理・確定申告の効率化
- 広告規制の確認:「性的表現」や「抜きあり」などは禁止ワード
これらを守ることで、法的に問題のない健全なサロン運営が可能になります。
税務や届出に不安がある場合は、行政書士や税理士への相談も効果的です。
メンズエステ経営における風営法の注意点
メンズエステは、風営法の枠外で営業することが前提の業種です。
そのため、経営者は「どこまでがセーフで、どこからが違法か」を明確に理解しておく必要があります。
線引きを誤ると、知らないうちに違法営業と判断され、摘発対象になるおそれがあります。
ここでは、風営法に関する基本的なルールや違法になる範囲などをまとめました。
風営法の基本ルールを理解する
風営法では、「性的サービスを提供する営業」を性風俗関連特殊営業として定義しています。
代表的な業種は、ソープランド・デリヘル・ファッションヘルスなどが該当します。
一方、メンズエステは「リラクゼーションを目的としたマッサージ店」であり、性的行為を伴わない限りはこの分類に入りません。
つまり、メンズエステは “風営法の対象外”=合法 という立場です。
しかし、実際の施術内容が「性的満足を与える目的」と判断されると、その瞬間に風俗営業とみなされます。
判断基準は、あくまで「形式」ではなく「実態」です。
オイルマッサージやリンパ施術であっても、性的な意図があると見なされれば風営法違反となります。
違法と判断されるケース
実際に摘発や警告の対象となったメンズエステでは、以下のような共通点が見られます。
セラピストが下着または水着姿で施術を行っていた
性器付近への接触やマッサージを黙認していた
セラピストが個別で裏オプを提供していた
広告やSNSで「抜きあり」「密着度MAX」などの表現を使用していた
これらはいずれも、風営法第2条に定める“性的サービスを提供する営業” に該当する可能性があります。
摘発されると、経営者は営業停止命令や罰金、最悪の場合は逮捕の対象になることもあります。
摘発を避けるための運営ポイント
メンズエステを合法的に運営するためには、風営法の趣旨を理解し、常に“リラクゼーション業”としての実態を維持することが大切です。
そのために、以下のポイントを徹底しましょう。
摘発を避けるための経営ポイント
- 広告表現の健全化
- セラピスト教育の徹底
- 施術環境の整備
- 内部監査・外部相談を活用
これらを日常的に徹底すれば、警察からの監視対象になるリスクを最小限に抑えられます。
健全経営こそが、長く安定して利益を出し続ける唯一の方法です。
まとめ
メンズエステの経営は、風営法上は合法ですが、実態次第では違法と判断される非常に繊細な業態です。
性的行為や過激な演出を一切行わず、「癒しを提供するサロン」としての運営方針を明確に保つことが何より大切です。
広告・施術・教育の三点をしっかり管理できていれば、摘発リスクを避けながら健全な経営を続けられます。
“グレーではなく健全”という軸を貫くことが、信頼される店舗づくりの基本です。


