メンズエステで働くセラピストの多くは、店舗と雇用契約を結ばずに業務委託契約として報酬を受け取っています。
そのため、一般的なアルバイトや社員のように自動で税金が処理されるわけではなく、自分で確定申告を行う必要があります。
しかし、やり方がわからない人も少なくありません。
この記事では、メンエスで働くセラピストが知っておくべき確定申告の基準・手続きの流れ・経費の考え方を解説します。
メンエスで働く人に確定申告は必要?
メンズエステで働くセラピストは、ほとんどの場合「業務委託契約」として報酬を受け取っています。
これは、会社員やアルバイトのように給与から税金が自動で差し引かれない働き方です。
そのため、一定以上の所得を得た場合は、自分で確定申告をおこない、所得税を納める必要があります。
確定申告を怠ると、後から追徴課税や罰則の対象になる可能性があるため、「どの金額から申告が必要なのか」「報酬はどの所得区分にあたるのか」を正しく理解しておきましょう。
確定申告が必要になる基準金額
確定申告が必要になるかどうかは、1年間の所得金額によって決まります。
- 専業セラピストの場合(メンエスのみで生活している)
→所得が年間48万円を超える場合に確定申告が必要です。
これは「基礎控除(48万円)」を超えると課税対象となるためです。
- 副業セラピストの場合(本業+メンエスの人)
→本業で給与をもらっていても、メンエスでの所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。
この金額を超えた副収入は「雑所得」または「事業所得」として申告しなければなりません。
また、報酬の支払い時に源泉徴収(約10%)が差し引かれている場合は、確定申告を行えば税金の還付を受けられる可能性があります。
メンズエステの報酬は「給与」ではなく「業務委託」扱い
メンズエステで受け取る報酬は、基本的に「給与所得」ではなく「業務委託による報酬」として扱われます。
これは、店舗と雇用契約を結んでおらず、自分の裁量で働くスタイルであるためです。
そのため、税務上は個人事業主と同じ扱いになります。
勤務日数や働く時間を自分で決められる反面、税金の管理も自分でおこなわなければなりません。
具体的には、年間の報酬から経費を差し引いた金額が「所得」となり、それをもとに所得税や住民税が計算されます。
この仕組みを理解していないと、後から税金が発生することがあるため注意が必要です。
確定申告をしないとどうなる?
「少しの収入だから大丈夫」と思って申告をしないまま放置すると、無申告加算税や延滞税の対象になる可能性があります。
税務署は銀行振込や店舗の帳簿から収入を確認できるため、申告をしなくてもいずれ把握される仕組みになっています。
また、無申告が続くと「意図的に税金を逃れた」とみなされ、悪質なケースでは刑事罰に発展することも。
一方で、早めに正しい申告を行えば、ペナルティは発生せず、払いすぎた税金が戻る場合もあります。
確定申告は“税金を払うための手続き”ではなく、“安心して働くための仕組み”です。
メンエスの仕事を長く続けるためにも、早めに収支を整理し、毎年申告を行いましょう。
メンエスセラピストが行う確定申告のやり方
確定申告は、事前にやり方を把握していれば難しくありません。
実際セラピストも、基本的な流れを把握しておくことで、初めてでもスムーズに申告が完了します。
ここでは、確定申告の時期と方法・必要な書類・申告書の作成手順を順に解説します。
申告のタイミングと提出方法
確定申告の期間は、毎年 2月16日〜3月15日までと定められています。
対象となるのは、前年の1月1日から12月31日までに得たすべての所得です。
申告方法は次の3つがあります。
- 税務署の窓口で提出する方法
書類を印刷して直接持ち込む
税務署職員のアドバイスを受けながら提出できる
- 郵送で提出する方法
書類を作成し、住所地を管轄する税務署に郵送する
期日必着に注意
- e-Tax(電子申告)を利用する方法
パソコンやスマホでオンライン申告が可能マイナンバーカードを使えば、24時間いつでも提出できる。
メンエスセラピストの場合は、仕事の合間に進めやすいe-Tax利用がおすすめです。
手入力でも自動計算されるため、税額ミスを防げます。
必要な書類と準備しておくもの
確定申告をスムーズに行うためには、事前の準備が大切です。
メンエスのセラピストが用意しておくべき主な書類は、以下のとおりです。
| 種類 | 内容 |
| ① 報酬明細書・振込明細 | 店舗やポータルサイトからの支払い記録
年間収入の証明になる |
| ② 経費の領収書 | アロマオイル、衣装、交通費、消耗品など
経費計上に必要 |
| ③ マイナンバーカード | e-Tax利用時に必須
身分証としても使用 |
| ④ 通帳・振込履歴 | 収入の流れを確認するため
現金払いの場合はメモを残す |
| ⑤ 源泉徴収票(ある場合) | 報酬から税金が天引きされている場合に使用 |
これらを1年分まとめて整理しておくと、申告時に迷うことがありません。
特に経費の領収書は、「何に・いくら使ったか」をメモしておくことが大切です。
確定申告書類の書き方・申告の流れ
確定申告書の作成は、国税庁の公式サイト「確定申告書等作成コーナー」を使えば簡単です。
入力画面に沿って金額を記入するだけで、自動的に税金が計算されます。
基本的な流れは、以下のとおりです。
- 収入金額の入力
- 必要経費の入力
- 所得控除の入力
- 税額の確認と提出
提出後は、「申告書控え」や「送信完了通知」を必ず保管しましょう。
これが、万が一税務署から確認があった際の大切な証拠になります。
経費として計上できる項目
確定申告での大きなポイントは、「どこまで経費として認められるか」です。
メンズエステのセラピストは業務委託契約のため、仕事に必要な支出はすべて自己負担となります。
そのため、正しく経費を計上することで、課税対象の所得を減らし、税金の支払いを抑えられるでしょう。
ここでは、メンエスで働く人が特に注意しておくべき代表的な項目を紹介します。
施術に使う備品や消耗品
メンズエステの施術に必要な備品や消耗品は、経費として計上できる代表的な項目です。
具体的には、以下が挙げられます。
メンズエステで経費にできる備品・消耗品
- アロマオイル
- ホットジェル
- タオル
- シーツ
- マッサージに必要な手袋など
また、施術環境を整えるための加湿器・アロマディフューザー・照明器具なども、仕事に使用している範囲であれば経費になります。
ただし、私生活でも使用している場合は「按分(あんぶん)」といって、仕事で使った割合だけを経費として申告する必要があります。
領収書やレシートは必ず保管し、「いつ・何を・どの目的で購入したか」をメモしておくことで、税務署から確認が入った際にもスムーズに説明できます。
通勤・交通費の扱い方
通勤や出張などにかかる交通費も、経費に計上できます。
自宅から店舗までの往復交通費、複数店舗を掛け持ちしている場合の移動費などが該当します。
電車やバス、タクシーなど公共交通機関を使った場合は、チケット・ICカード履歴・領収書を保管しておきましょう。
また、遠方のイベント出張や講習会参加にかかる交通費も、仕事目的であれば経費として認められます。
ただし、通勤のついでに私用を済ませるなど、私的利用が混ざる場合はその分を除外する必要があります。
マイカーを使う場合は、ガソリン代・駐車場代・高速料金なども対象ですが、こちらも「仕事で使った分だけ」を按分して計上しましょう。
移動履歴を簡単にメモしておくと、後で証拠資料として提示しやすくなります。
衣装・美容・通信費は経費になる?
メンエスのセラピストにとって、衣装や美容、通信環境は仕事の一部といえます。
ただし、すべてが経費になるわけではなく、仕事目的で使用しているかどうかが判断基準です。
- 衣装代
→店舗指定のコスチュームや施術用ウェアは経費として認められます。
プライベートでも使うような洋服は対象外ですが、仕事用として購入した明確な理由があれば問題ありません。 - 美容代
→施術に必要な清潔感維持(スキンケア・メイク用品・ネイルケアなど)は経費の一部になります。
ただし、エステ通いや美容整形など、私的な美容目的は対象外です。 - 通信費
→SNS更新・予約管理・顧客対応などにスマホを使用している場合、その利用分を経費にできます。
仕事とプライベートを分けていない場合は、使用割合を50〜70%程度に按分するのが一般的です。
このように、経費として認められるかどうかは「仕事との関連性」を明確にできるかで決まります。
レシートを保管し、簡単なメモを残すだけでも、税務調査時の信頼性が大きく向上します。
よくある疑問と注意点
確定申告の必要性は理解していても、実際に行う際に「本業に知られたくない」「副業扱いで問題ないの?」といった不安を抱く人は多いです。
また、申告方法に迷ったときにどこへ相談すべきか分からず、後回しにしてしまうケースも少なくありません。
ここでは、メンエスセラピストが安心して確定申告を行うために、よくある疑問とその解決策を紹介します。
店にバレないように申告することはできる?
確定申告をしても、お店にバレることは基本的にありません。
確定申告は個人の税務手続きであり、店舗に通知が行くことはないからです。
ただし、注意点として「報酬を銀行振込で受け取っている場合」は、店舗側が支払調書を税務署へ提出しているケースがあります。
これは事務上の手続きであり、店舗にあなたの申告内容が伝わることはありません。
むしろ申告をしないほうが、後から税務署の調査で発覚し、「お店にも確認が入る」というリスクが高まります。
正しく申告を行えば、トラブルを未然に防ぎ、堂々と働けます。
副業として働いている場合の申告方法
本業の会社員やパートをしながらメンエスで働いている場合は、副業分の所得が20万円を超えたら確定申告が必要です。
このとき、会社に副業を知られないようにしたい場合は「住民税の納付方法」に注意しましょう。
確定申告書の「住民税・事業税に関する事項」欄で、「自分で納付」を選択すれば、会社を通さず自分で住民税を支払えます。
この設定をしないと、会社に住民税の通知が届き、副業が知られてしまうことがあります。
また、副業収入を少額だからといって申告しないのは危険です。
銀行口座や振込データを通じて税務署が把握するケースも多いため、金額にかかわらず正確に申告しておくほうが安全です。
税務署に相談するタイミング
確定申告に不安がある場合は、税務署に直接相談するのが確実です。
税務署では、2月中旬から申告期間中にかけて「無料相談窓口」が開設され、書類の書き方や経費の扱いなどを職員が丁寧に教えてくれます。
また、近年は「税務署チャットボット」や「電話相談窓口」も利用できるため、時間が取れない人でも気軽に確認できます。
税理士への相談も効果的ですが、簡単な内容であれば税務署で十分対応してもらえます。
重要なのは、「分からないまま放置しない」ことです。
早めに相談して解決しておくことで、期限ギリギリに慌てることなくスムーズに申告を済ませられます。
まとめ
メンズエステのセラピストは、店舗との雇用契約ではなく業務委託契約で働いているため、一定以上の収入がある場合は確定申告を行う必要があります。
確定申告をすれば、税金を正しく納めるだけでなく、経費計上による節税効果も得られます。
一方で、無申告のままにしておくと追徴課税などのリスクがあるため注意が必要です。
正しい手順を理解し、期日内に申告を済ませれば、お店や会社に知られることもなく安心して働けます。
確定申告は、税金の義務であると同時に、自分の働き方を守るための大切な仕組みです。
毎年の収入を整理し、早めの準備を心がけましょう。


